2014/09/26

世界で一番嬉しいギャラ

前回からの続き

プエルト・イグアスに到着すると陸路からの国境越えをしてアルゼンチンへ。
空港に比べるとあっさりしたもんだな。
ゴキブリバスの終着点
そこからいざ「イグアスの滝」へ。
足元がびちゃびちゃに濡れるという理由で、ビーチサンダルを購入して出発。

15分ほど歩いて行くと眼前に巨大な滝が姿を現す。
おお〜こりゃ「華厳の滝@栃木」よりずいぶんでかいな。
いうなれば、日本の「定番カブトムシ」と「ヘラクレスオオカブト」ぐらいの差があるな。
しかもヘラクレスオオカブトって南米産だったかな。
あ、逆にわかりにくい?
うるせえぼけ、そんなもんじゃ。
滝の面積と音の迫力がすごい。時期によっては水量がもっと多いこともあるとか。ほおー。
撮影 登坂太頼
のちにおみやげ売り場のエリアのあたりをビールを呑みながら散策しているとどこからともなく幼い歌声が聞こえてきた。
音のする方に目をやると、十数人の子どもたちが手にザルをもって一生懸命歌っている。
ボロボロの服を着た孤児の子どもたちが観光者相手に行っている「稼ぎ」の一貫らしい。
数人が太鼓を、数人が民族楽器の笛を吹いている。
年は6歳ぐらいから12歳ぐらいかな。
なんとなく近づいていくと、なかなか歌がいい感じ。
アルコールも手伝って心地よい感じが身体に染みてくる。
俺はビーチサンダルを脱いでバレエともいえないような踊りを踊り始めた。
普通にただの酔っぱらいにしか見えなかったと思うが。
最初は憮然としてた子供達だったが、太鼓を叩いているやつのテンションがだんだん上がってくる。
リズムも高まって歌もどんどんあがってくる。
そりゃこっちも高まるわ。
子どもたちに目をやると、みんなニヤニヤしながら俺をみている。
気づくと周りに観光客の人だかりができていて、盛り上がっている。
そういう大道芸みたいに見えたのかな。
中には一緒に入ってきて適当におどっているやつらもいた。
ちなみにアスファルトの上でめちゃくちゃに踊ってるせいで、俺の足の裏はぐちゃぐちゃに。
でも気持ちよさが勝つ。
演奏と歌と共に踊りが終わると、周りの人達から拍手と歓声があがった。
子どもたちのザルにお金が沢山はいっていった。
よかったな、ガキ共。
俺は大分ぬるくなった残りのビールを呑み干して地面に大の字になった。
そりゃ疲れた。そりゃ楽しかった。
空を見ながら自分のおさまっていない心臓の音を聞いていると、孤児の子供が二人、上から俺を覗きこんできた。
身体を起こすと、一人がザルから両手いっぱいに紙幣の混ざったお金をすくって俺に差し出してきた。
事態の飲み込めなかった俺が不思議そうな顔をしていると、一人がこう言ってきた。

「受け取ってくれ」

正直びっくりした。
10歳もいかないぐらいの子供だぜ。
どう見ても汚い感じの俺もホームレスに見えただろうが、子供たちの貧しさはひと目でわかる。
俺は目を見開いて「いらない」というジェスチャーをした。
すると、

「今日のお前の稼ぎだろ?」

みたいな事を言う。
この子供の気持ちになんだか胸がキューっとした。
二人の顔を交互に見た後に、
「これだけくれ」
と言って、コインを一枚だけ手に取った。
子供二人は目を合わせて、俺に微笑んだ。
照れくさくなって、子供たち全員に手をふってそそくさとその場を離れた。
オイオイ、ちょっと泣きそうになっちゃったぜ。
なにより気持ちが嬉しかった。
それとも俺がよっぽど金がなさそうに見えたのかな。
こんな感じのスペース
ポケットにコインをつっこんで、このお金を宝物にしようと思った。
世界で一番嬉しいギャラだった。
しかも地球の裏側で子供からもらったギャラ。
大事にしようと心に決めて、2日後にはもう落としてなくしていた。
当時ほぼアル中だった俺にはモノの管理能力なんて全くない。
ま、俺ってこんぐらいのやつなんだな。
にんげんだもの。

でもあのコインの重みは一生忘れない。
踊りを踊って、人から拍手をもらってお金をもらう。
いつものことっちゃあいつものこと。
ダンサーとしての本分をここで一つ果たせたんだなと思った。
「踊り」には言語も肌の色も関係ない。
身体を動かして音や自分や空間を表現する。
その自分の「踊り」によってアルゼンチンの孤児達と一つになれたことがなにより嬉しかった。

世界共通言語とはよく言ったもんだ。
「踊り」があって良かったぜ。

まあまた思い出したらこんな時の話を書くかな。

んだば。

2014/09/24

「トイレの番人」

ファベーラギャングとジーコの話の投稿の反響が思ったより大きかったので、感覚がヒリヒリするような話じゃないんだけど、 ブラジルとアルゼンチンの国境辺りの出来事を。

2009年の話ね。
ブラジルから陸路でアルゼンチンに向かうことに。
リオデジャネイロからその辺の人に聞きまくってバスの乗り場を確認。
なんと移動時間は24時間も(!)かかるという。
えー。国内の高速バスに乗るのも嫌なのになー。
しかもバスターミナルで時間を潰すためにお茶してたら横のテーブルのブラジル人が、
「バスの中ではゴキブリに気をつけろよ!このバスは通称「ゴキブリバス」だぜ!hahaha~!」
みたいなこと言うの。しかも超陽気に。
ま、子供の頃から昆虫類とか割と大丈夫だし問題ねえだろ。
それにしてもターミナルに泊まってるバスを見てみると小綺麗だし、ゴキブリがいる空気感なんか全然ない。

おちょくられただけかなと思って大量の食料と飲み物を持ってバスに乗り込む。
行き先はブラジルとアルゼンチンの国境あたりにある「プエルト・イグアス」。
ここには「イグアスの滝」っていう観光スポットがあって、世界三大瀑布とかって呼ばれてるみたい。
俺の中での最強の滝は栃木の「華厳の滝」なんだけど、どんなもんだろ?

am8:00そろそろ出発時間だ。
乗り込むとやっぱり綺麗なバスだ。 ゴキブリの話はやっぱりおちょくられたんだな。
予約制の席で、小学生の頃から定位置だった一番後ろの真ん中の席を取っていた。
いただろ?後ろではしゃいでるバカ。それ俺。
しかも一番後ろにはトイレが付いてて、近くていいかなーとか思ったり。
席は埋まってる。バスを使う人多いんだな。

しかし、出発して30分後にはちょっと後悔。
そうです。だいぶトイレが臭いのです。走りだすまであんまり臭わなかったんだけどなあ。
でも変われる席ももうない・・・。ま、いいか。慣れんだろ。

何時間か走ると、白人の綺麗な女の子がトイレに立った。
俺の横でドアをノックしている。トイレに一番近い席にいる俺は中に誰も入ってないのを知っている。
ノックをしても返事がないからドアを開けようとするがなんだか開かないようだ。
中からロックがされてるわけではなく、ただ単に建て付けが悪くて引っかかっているようなのだ。
ちらっと俺の顔をみて、
「誰か入ってるの?」
というので、俺は「入ってないと思う」と告げてドアノブを思いっきり引っ張った。
少し歪みながらドアが開いた。
彼女は可愛らしい笑顔を俺になげかけて、「ありがとう!」と言ってきた。
・・・なんだよ・・・ あんな笑顔までもらっちゃって役得だったな・・・なんて事を思いながら窓の外に目をやった。
でもさ、聞こえてくんだよね。音。
さらにトイレから出る時も「ガタガタガタっ!!」って音がして、さらにちょっと匂いが・・・。
やっぱこの席失敗だったかな・・・

サービスエリア風のところに停まって休憩。
小腹が空いてきたのでハンバーガーとスナック類をいくつか買ってまたバスに乗り込む。

再びバスが走りだした後、しばらくして先ほど買ったハンバーガーをほおばる。
お、なかなか美味いな。
しかしそんな最中もトイレに立つ乗客がとめどない!
かなりの頻度で、

乗客がトイレの方にくる

ドア「ガタガタ!」

俺の方をちらっと見る

乗客「この中誰か入ってる?」

俺「いや、入ってないと思う」

無言でドアを無理やり開けてあげる

俺「どうぞ」

乗客「サンクス!」中にはいる

音ハンパない

「ガタガタガタン!」

ドアが開く

匂いハンパない

の繰り返し・・・
かくして俺は「トイレの番人」に成り果ててしまった。
何回来んだよ!ヒト!

うぉい!ハンバーガー食ってらんねえわ!匂いと共にうんこ食ってる感でてきたわ!

3分の1ほどを残し、座席の前のネットのところにハンバーガーを置いて寝ることに決める。
てゆうかそこそこ寝たフリでもしてないとえんえんと「番人」としての仕事が終わらないし。
最初に番人の仕事をした女の子に関しては、寝てる俺を起こしてまでドアを開けさせる始末だ。ヤレヤレ・・・

1時間半ほど寝ただろうか。窓の外はもう真っ暗。 車内も暗くなっていた。
・・・?・・・・なんか違和感のある気配がする?
目をシパシパさせながら脳みそをもう少し現実にもどしてみる。
・・・ん?・・・・ハンバーガーがない?
・・・なんだこの黒いカタマリ?・・・・・
・・・・・・・!?・・・・・・・・・・・・まさか・・・・・・
なんと!俺の食べかけのハンバーガーにちっちゃめのゴキブリが大量に張り付いて触覚を動かしている!ファック!ターミナルで一緒だったやつが言ってたの本当だったわ!オブリガードっ!!!
「昆虫大丈夫!ニコニコ」・・・嘘でした!こりゃだめだ!気持ち悪いわ!
とりあえず視線30cm先の出来事をしばらくみて、対策を考える。
・・・・・んー・・・この状況で対策ないわ。
一気に散られた方がパニックだし。
はあ・・・・。
で、俺の出した答えは「知らんプリを決めこんで朝まで寝る」にした。
対策が後ろ向きだな。でもしゃあない。
そりゃ寝つけないけど、もうどうしようもない。

明るくなった頃になんとなく目を覚まして、恐る恐る座席前ネットを覗きこむと小さいゴキが一匹いるだけになっていた。
これならいけると判断。そいつごと一気に紙に来るんでビニールで封をする。
しっかし、このバスのどこにそんなに大量にゴキブリがいんだよ。
と、ふと目をあげるとまた可愛い女の子が「ドアを開けて♡」と無言で俺の顔をみていた・・・

かくしてこんな事を24時間しながらプエルト・イグアスに到着するのであった。
あー腰いて。

続く
2009年 トイレの番人
























2014/09/14

川﨑みゆきバレエの本番を終えました!

川﨑みゆきバレエの本番を終えました!

小さいハプニングっていうかズッコケエピソードもあるなか無事に終了。

今後のスタジオの将来性が楽しみ。


幕モノの中でお芝居とか空気感を学んで、踊りにフィードバックしていってもらえたらいいね。
初めてのパ・ド・ドゥ組もキラキラしてたぜ。

みんなお疲れ様でした。

 PS.少ないリハーサルの中、桂子さすがの余裕(笑)おつかれ様でした。


2014/09/01

マザークルック閉店

マザークルック閉店です。

なんのこっちゃわからないって?

兄亮太の関わっていたカフェです。

ミスチルプロデューサーの某小林武史に任せられてた店ね。

やっぱ音楽家のプロデュースした飲食店とかってよく潰れんな。 あ、こんなこと言ったら怒られる?

亮太を応援してくれてたファンの方たちが直接に接する事ができる場所だっただけに残念だな。

亮太のブログはこちらから。

ほいでは。